今月の一冊

嘉麻市社協だよりえがおNO.128に掲載した「今月の一冊」をご紹介します。

 「プチ虐待」の心理
  まじめな親ほどハマる日常の落とし穴
    諸富祥彦著   出版 青春出版社

著者は初めに、児童相談所への通告の対象にならない程度の虐待、いわゆるプチ虐待が多くの家庭で生じていると指摘します。
そして、その背景には、日本社会全体の子育てに対する不寛容があり、真面目な親はきちんとしたしつけをしなければというプレッシャーの中で、厳しすぎるしつけをし、子どもを追い込んでしまっているといいます。この叱りすぎによって育った子どもは、自己否定が強く、立ち直る力を損ないがちで、自分自身も暴力的になりやすいそうです。
スマホネグレクト、スマホ育児についても取り上げられています。
スマホネグレクトとは、子どもが親を見ていても、親はスマートフォンに夢中で、子どもを見ていない(育児放棄)の状態のことを指します。親を見たら、笑顔で応えてくれるという、親と子の応答性によって生まれるアタッチメント(愛着)が形成されないことになります。子どもと特定の養育者との間に築かれる心の絆、根元的な自己肯定感が育たないと著者は指摘しています。
また、スマホ育児は、静かにしているからという理由でスマートフォンを与え、子育てをさせてしまうことです。これによって学力低下以上に怖いのは、「生きる力」そのものを奪うということだといいます。
具体的には、他者の気持ちに立つ力、社会性や人間関係に係る力、創造する力などです。こうした非認知能力の育ちは、幼少期を過ぎた後では取り戻せないと指摘しています。
最後の章では、こうしたプチ虐待への対処法について触れられています。その中の一つが、「子どもにとっての心の安全基地」になるというものです。ノーバディーイズパーフェクト(みんな不完全)で良い、でも子どもの前だけでいいので、穏やかな気持ちをキープすることを心がけること。そして、子どもが安心できる場を、保育園、学校、学童などに増やしていくことが必要だと述べています。地域の中にも、子どもたちにとっての安心基地を増やしていくとともに、叱りすぎていれば周りが気にかけてくれるような、親にとっても安心して育児できる環境も必要なのだと感じました。