今月の一冊(NO.116)

今月の広報紙えがおに、毎月職員が読んだ本を今月の一冊として、掲載しています。
今回は、新装版 苦海浄土 わが水俣病 です。
著者 石牟礼道子氏 発行所 講談社文庫 
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 この本には、公害病として知られている水俣病がどれだけたくさんのものを奪い、傷つけてきたのか、また、それにより悩んでこられた方たちの生々しい声が、水俣の言葉で綴ってあります。
 水俣病とは、チッソ工場が水俣湾に流した工場廃水により汚染された魚を知らずに食べていた方たちがおかされた病で、魚に含まれていたメチル水銀で脳や神経の細胞が破壊され、治ることができません。手足のしびれや頭痛、言葉をはっきり話すことや歩くことができないなど様々な症状に日々苦しまれていて、水俣病が発生してから、人々の暮らしやつながりが変わっていく様子が事細かく書かれています。また、水俣病が発生した不知火(しらぬい)海は、魚わく海と言われていたそうで、その美しさや豊かさを偲ぶ言葉もたくさんでてきます。
この本から浮かび上がる患者さんへの差別は、大変過酷で読んでいて心に迫るものがあります。家族や地域のつながりまで奪ってしまったことの罪深さを感じながら、同時に私自身にもその罪が問われている気がしました。
私は仕事で水俣のことを知るまで、水俣病のことを公害病の一つとしか知りませんでした。この本は、水俣病で苦しんだ方や家族の声だけでなく、裁判をめぐる動向、様々な資料も綴ってあり、水俣病事件に様々なことを映して何が見えるかを考えることができました。(きはら)